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これまで「特区構想」をはじめ、開設に向けて検討されては消えていった日本の「カジノ」。その実現に向けて、楽天の三木谷浩史社長や橋下徹・大阪市長が動きはじめた。
カジノの誘致には大阪府・市や東京都が名乗りを挙げているほか、これまで沖縄県や北海道なども「候補地」とされた。外国人観光客の誘致による観光事業の振興や地域の活性化、産業創出や雇用確保、税収増などの効果が見込めるとされ、「経済再生」を掲げる安倍政権の方針に合致する、ということのようだ。
■三木谷社長、風営法の改正も提案
なかなか煮え切らなかった「カジノ」構想の実現に向けた動きが、にわかに活発になってきた。
安倍政権が掲げる経済政策の「成長戦略」に向けた政策提言を担う「産業競争力会議」の第1回会合(2013年1月23日開催)で、委員の一人である楽天の三木谷浩史社長がカジノの開設と風営法の緩和を提案した。
三木谷氏が提出した資料「Japan Again」によると、日本の経済成長に必要な「ブランド力(超過収益力)」を高めるためには、「海外マネーを引き寄せるサービス・コンテンツ作り」が欠かせず、その手段の一つとして「大都市の娯楽的魅力の向上」を提案している。
寺社仏閣めぐりや自然観賞といった日本の歴史や文化、自然環境で得られる「観光収入」だけでは限りがある。観光事業を「経済政策」としてとらえるのであれば、たとえば医療ツーリズムやカジノ、現在は風営法の規制対象となっているクラブやダンスホールなどの娯楽の魅力向上が必要、と指摘している。
三木谷氏の提案は、政府が訪日外国人客数を3000万人まで増やすことを目標とした、いわゆる「ビジット・ジャパン」の主旨にも沿う。
当初は2003年の年間521万人の訪日外国人客を、10年までに1000万人にすることを目標としていたが、リーマン・ショック後の世界不況や11年の東日本大震災と原発事故の影響もあって思うように伸びない。日本政府観光局(JNTO)によると、12年は836万8000人(前年比34.6%増、10年比2.8%増)だった。
資料によると、アジア太平洋地域の中にあって日本の観光収入は現在109億6600万ドルで第10位。韓国(8位)や台湾(9位)よりも低く、三木谷氏は現在5位のマレーシア(182億5900万ドル)の水準を目標としている。
現在の日本の法律では、刑法185、186条などで賭博行為が禁止されており、カジノの設置は認められていない。外国人観光客を呼び込み、観光収入をアップするためには、カジノの開設に向けた法改正や風営法の改正が必要というわけだ。