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小沢一郎氏が代表を務める「国民の生活が第一」(以下、「生活」)の政党ポスターを、ある男性がはがしている様子の写真がインターネット上に出回った。
この人物はかつて、小沢代表とともに民主党に属していた衆院議員。本人はウェブサイト上で経緯を説明し、「法的に問題ない」と主張している。
■近所からポスターをはがすよう依頼が届いた
半袖姿の男性が、ブロック塀に張られたポスターを引きはがしている。画像は若干不鮮明だが、「生活」の小沢代表の顔を大きく写した政党ポスターだ。もう1枚の画像は、はがしたと思われるポスターを手にした男性の顔が見える。これらの画像は2012年10月30日にツイッター上に投稿された。
勝手に政党ポスターを撤去したのなら、問題ではないのか――。ツイッターでは、男性の行為に批判が集まった。「生活」に所属する三宅雪子衆院議員も、この件をツイッターで言及している。11月1日の時点では当事者の男性に対する捜査などは行われておらず、失望した様子をつづっていた。
写真の男性は、小沢代表や三宅議員とともに以前民主党に所属していた中島政希衆院議員だった。2012年1月に民主党を離党し、現在は無所属で活動している。地元は群馬県高崎市で、2009年の衆院選では民主から出馬、比例北関東ブロックで当選を果たした。三宅議員は同じ選挙区で、祖父の石田博英・元労相の秘書を務めていたのが中島議員だったという。同じく民主党とたもとを分かった「生活」のポスターをはがした理由は何か。
中島議員は11月2日、自身のウェブサイト上に「ネットでご指摘を受けた件について」という声明を出した。具体的にどんな「指摘」なのか明らかにしていないが、文面から「生活」のポスター撤去にかかわる事情説明だと推察できる。自身の行為について「これは私の自宅前、知人宅での出来事」とし、「あるポスター」の掲示について近所から苦情と、はがしてほしいとの依頼が届いていたため自ら取り除いたのだという。「ご近所のみなさんもいらっしゃる前でのこと」と、ひとりでこっそりやったわけではない点をにおわせつつ、「今般の件は法的になんら問題はありません」と強調した。
この後、三宅議員はツイッターを更新。中島議員の名前こそ出していないが「法的に問題ない」という言い分に首をかしげつつ、あとは警察に任せるとしている。
■撤去作業ができるのは県から権限を与えられた土木事務所の職員など
中島議員が主張するように法的には問題がないのだろうか。
群馬県選挙管理委員会に取材すると、選挙の際に掲示される候補者ポスターは公職選挙法上、はがしたり破ったりすれば法律違反となる。一方、選挙とは別に張られる政党ポスターは「屋外広告物」として、自治体の条例により規定されるという。
中島議員の地元の高崎市は、群馬県からの事務権限移譲により2010年12月に屋外広告物条例を制定した。同市景観室に聞くと、政治資金規正法の対象となる政治団体の場合、掲示期間が2か月までの政党ポスターであれば、具体的な期間と政党名をポスター上に記載しておけば市への届け出は不要だと話す。2か月を超える場合は届けを求められ、最長4か月まで掲示可能だ。
ただ、掲示する際には、その家の住民に了承を得るのが通常だ。
では、ポスターを第三者が勝手にはがした場合はどうなるのか。市の条例には、罰則規定がない。県選挙管理委員会は、「ひとつの可能性ですが」と前置きしたうえで、ポスターをはがして捨てたり破ったりした場合に、持ち主の訴えによっては刑法の「器物損壊罪」や軽犯罪法違反に問われるかもしれない、と指摘した。
群馬県都市計画課は、例えば掲示されたポスターに住民から苦情が出てはがすことが決まった場合、撤去作業ができるのは県から権限を与えられた土木事務所の職員などに限られるという。権限もない人が、たとえ周囲から依頼されたからといって断りもなくポスターを外すのは「困った行為」なわけだ。
J-CASTニュースが「生活」に、党としての見解を聞くため取材を申し入れたところ、「この件につきましては(党の)群馬県連の方で対応しており、警察などにも相談しています。党本部としましては、推移を見守っているところです」と電話で回答した。中島議員にも電話取材を数回試みたが、ウェブサイトに記載されている国会事務所、高崎事務所いずれも不在でつながらなかった。