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閉幕したばかりのニューヨーク・ファッションウィークでは、プラバル・グルン氏の最新のドレスが話題をさらった。一方、あまり話題にはならなかったが、グルン氏は今回のショーに、前回2月のショーより2人多い5人のアジア系モデルを登場させた。
グルン氏をはじめとして、ニューヨーク・ファッションウィークで作品を発表する主要デザイナーの多くがファッションショーに多様な人種のモデルを採用しつ つある。売上げの拡大が見込めるアジアやブラジルなどの観客に訴えるためだ。グルン氏のショーでは、プエルトリコ出身で褐色の肌をした黒人系モデル、ジョ アン・スモールズさんが最も重要とされるショーの最初に登場したことも印象的だった。
歴史的に多様性を追求してこなかった業界では、ほんの少しの変化でも目立つものだ。デザイナーが1回のショーに3人以上のアジア系モデルを登場させること はこれまでめったになかったが、今年はマイケル・コース氏やジェイソン・ウー氏を含め、数人のデザイナーが3人以上のアジア系モデルを起用した。10の主 要ブランドのショーで延べ26人のアジア系モデルが登場、前回の2月のニューヨーク・ファッションウィークのときよりも8人多い。
「この程度の多様性があることは重要だ」とグルン氏は話している。「現代では、中国などのアジア各国やブラジルに購買力があり、その点に気をつけなければいけないし、考慮する必要がある」
アジア系のモデルはここ1年で特に存在感を増している。モデルズ・コムによるトップモデル50人のランキングには現在、6人のアジア系モデルが含まれてい るが、5年前にはたった2人だった。今年、中国人モデルのリウ・ウェンさんがアジア系モデルとして初めて、同ランキングのトップ5に入った。
「アジア系モデルの契約が増えた背景には当然、中国の高級品市場の存在が大きい」とモデルズ・コムの編集長スティーブン・モスコビッチ氏は指摘する。モデ ルズ・コムはショーの出演や広告キャンペーン、雑誌の表紙の契約などに基づいてモデルのランク付けを行っている。「中国系モデルの進出が非常に強いトレンドになっていることは明らかだ」
ファッションや美容品を扱うブランドはブランドの顔と して、アジア系モデルの採用を拡大してきた。シャオ・ウェン・ジュさんはディオールの2012年秋の広告キャンペーンに登場している。資生堂は今月、中国人モデルのスイ・ヒーさんと契約、世界展開する化粧品シリーズのイメージモデルに起用した。エスティローダーは2010年に同社初のアジア系モデルとして、前 出の中国人モデル、リウさんを抜擢した。
ファッション関連企業はさまざまな人種のモデルを起用すれば、ビジネスを拡大することができる。欧米の景気低迷を受けて、ファッションブランドはその他の消費市場での事業拡大を進めている。ベイン・アン ド・カンパニーによると、中国人消費者(観光客としての支出を含む)だけでも、世界の高級品の売上高の20%以上を占める。日本、韓国、東南アジアを含むアジアの消費者では50%以上になる。全世界の高級品売上高の30%は現在、新興市場が占めている。
モデルのキャリア・マネージメントを行うIMGモデルズ・ワールドワイドの上級副社長兼マネージング・ディレクターのアイバン・バート氏は多様なモデルの起用について、「自分のブランドに消費者を呼び込むことができる」と話す。「消費者を反映したモデルを採用しなければならない」
もちろん、ニューヨークでもいまだに、最初に登場する10数人のモデルが全員白人モデルというファッションショーも相当数あった。アジア系モデルの起用を増やした主要なショー10本では、2月に比べて黒人系やラテン系のモデルの数が減っていた。ファッションショーで、非白人系のモデルが最初や最後を飾ることはまだ稀だ。しかし、マルティニーク島出身のモデル、コーラ・エマニュエルさんがジェイソン・ウー氏のショーでトリを務め、デレク・ラム氏のショーの最後に登場したのはスモールズさんだった。
モデル派遣業のジェイムズ・スカリー氏はアジア系モデルの人数が 「シーズンごとに増えている」と話す。スカリー氏は今週のジェイソン・ウー氏やオスカー・デ・ラ・レンタ氏のショーなどを担当した。モデル事務所は 「パッケージ」と呼ばれるモデルのポートフォリオをモデル派遣業者やデザイナーに送るが、スカリー氏はこうしたパッケージの中でアジア系モデルが以前よりも増えていると述べ た。
シュウ・ペイチンさんは5年近く米国でモデルをしている。シュウさんは「これまでは(アジア系モデルは)ほんの少ししかいなかったが、今では中国系だけでなく、韓国や日本出身のモデルも含めてアジア系のモデルが増えている」と話す。
1970年代にファッション業界で注目を集めた初の黒人系モデルの1人で、現在はモデル事務所のトップとして多様性を訴えてきたベスアン・ハーディソン氏はアジア 系モデルの起用が増えていることを喜ばしいこと、と話す。「アジア人モデルが人気なのは、ブランドにとって中国が必要だからだ」とハーディソン氏は言う。 「どんな理由でも構わない。アジア系モデルの起用が増えてうれしい」
ファッションは移ろいやすい。それゆえ、アジア系モデルの人気が続くかどうかはわからない。中国経済は減速の兆候を見せ始めており、ファッション業界が別のタイプのモデルに乗り換える可能性もある。
モデルの選択には、デザイナーが求める雰囲気や体格、肌の色合いなどさまざまな要素が絡んでいる。こうした要素の中に人種がどの程度重要か、断言するのは難しい。しかし、グルン氏について言えば、モデル選びには個人的な要素が関係している。
「『アジア系のモデルを探そう』というように計画的にやっているわけではない」とグルン氏は言う。「しかし、私自身が少数派であり、これまで個人的にも仕事の上でも、どの人種にも美しさはあると考えてきた」とグルン氏は話す(グルン氏はシンガポール生まれで、ネパールで育った)。「私には6歳の姪がいる。数年後、いろいろなことがわかるようになったときに、彼女が参考にできるロールモデルが十分いてほしいと思っている。美しいものは美しいのだから」