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人口約130万人の小国エストニアが情報技術(IT)で欧州での存在感を増している。インターネットを通じた選挙など電子政府の取り組みで知られるエストニアは、政府の積極姿勢がIT技術者や企業を引きつけ、インターネット電話サービス「スカイプ」などの開発拠点となっている。首都タリンには今年3月、欧州連合(EU)のIT関連組織の本部が置かれ、「バルト海のシリコンバレー」としての地位を築いている。(タリン 小雲規生、写真も)
220年の歴史を持つエストニア政府の庁舎「ステンボック・ハウス」。白い壁にエストニアの国章が掲げられた一室で開かれる閣議では、大臣たちが目の前にノートバソコンを置いて議論するのが当たり前の光景だ。
エストニア政府は2000年8月、「電子閣議」のシステムを導入した。週に1度の電子閣議の議題はすべてシステムにアップされ、大臣たちは事前に反対意見の有無を画面上のボックスをクリックして表明しておく。異議のない議題は討議なしで決定され、閣議にかける時間は導入前の4~5時間から、30~90分に短縮された。紙は一切使われず、「大臣がiPadを持ち込んで議論が進められることもある」(エストニア政府幹部)という。
エストニアが進める政府の電子化は閣議だけに留まらない。2002年に導入されたICチップ付きの電子IDカードは国民の90%が持っており、エストニア国内の幅広いサービスに利用される。例えば、電子IDカードを使って病院での受診記録や銀行口座にアクセスでき、会社設立や確定申告の手続きもネット上で可能。昨年の議会選挙では全投票の24%がインターネットで行われた。
IT関連の非営利組織(NPO)に勤務するアンナ・ピペラルさんは「インターネット接続はエストニア人にとって社会的な権利。電気や水と同じです」と話す。
こうした政府の先進的な取り組みは世界的なIT関係者の目も引きつける。スカイプの開発チームの約45%はエストニアで働き、スウェーデンの通信機器大手、エリクソンもエストニアに製造拠点を持つ。情報セキュリティー企業のガードタイムのグスタフ・ポーラ副社長は「エストニアはIT技術者が多いだけでなく、国の規模が小さいことを生かして、スピーディーに実証試験を進め、結果を検証することができる」と話す。
エストニア政府は07年にサイバー攻撃を受けたが、その後もセキュリティーを向上させ、08年には北大西洋条約機構(NATO)のサイバー防衛センターがタリンに設立された。今年3月にはEUの情報システムを管理するための新しい機関もタリンに開設されており、エストニアはIT開発の拠点としてさらなる成長を続けている。