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これまでの五輪で、ドイツはシンクロナイズドスイミングで悲惨な結果を出してきた。アイルランドは三段跳びで負け続けている。そしてモンゴルはまともなフィールドホッケーチームを作ることができないでいる。
3国はこうした欠点を特に恥じる必要がある。なぜか。これらのスポーツの発祥地だからだ。
だが、同じことが言えるのは、この3国だけではない。五輪に関しては、あるスポーツを世界に送り出した国がすべて、その種目で良い成績を上げているとは限らないのだ。
これを分析するために、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はすべての五輪種目について発祥地を割り出し、五輪で獲得したメダル数を基に順位を出してみた。
「発祥地」の判断は近代スポーツの成立・発展という観点からケース・バイ・ケースで行った。一部はその種目の近代形式が成立した場所であることを理由に選定した。例えば「飛び込み」種目の発祥地をドイツとしたように。ドイツではもともとこれを「珍しい飛び込み方(ファンシー・ダイビング)」と呼んでいた。あるケースでは、そのスポーツに使われる道具が作られた国を発祥地とした。これによると、カヌー発祥地はカナダになる。また別のケースでは、近代形式の前身となる競技が生まれた国を発祥地とした。例えばサッカーは中国、フィールドホッケーはモンゴルだ。また、最初に競技の記録をつけた国を発祥地としたケースもある。これによれば競泳は日本発祥だ。
この単純な方法で比べてみて最も悲惨な結果になったのはイラクだ。イラクはこれまで五輪のボクシング種目で用意された全841個のメダルを1つも獲得していない。イラクでは古代シュメール人が紀元前3000年頃にすでにボクサーを象(かたど)った彫刻を残している。エジプトとアイルランドも古代に自国で生まれながら、結果が残せていない種目がある。ギリシャは古代オリンピックで採用されたことを理由に自国発祥であると主張する全ての種目(合計8)で少なくとも1個のメダルは獲得している。もし読者がギリシャ人であるなら、円盤投げの伝統を誇らしく思うがいい。だが、フリースタイル・レスリングは見ない方が賢明だ。
おそらく最も意気消沈しているのは、最近、そのスポーツを編み出したばかりなのにメダルがとれない国だろう。スウェーデンは新体操の発祥地だということを忘れたほうがいいだろう。米国にとって最も自慢できないスポーツは、五輪競技としてはまだ生まれたばかりのトランポリンかもしれない。
今回の五輪開催国である英国の場合、障害馬術や自転車トラック、陸上の障害、競歩など、同国発祥の種目でメダルをほぼ独占している。しかし、約1000年前に自国で生まれたスポーツであるにもかかわらずメダルを取れず国の恥となっているものもある。卓球だ。今回の五輪でも英国代表のポール・ドリンクホール選手は3回戦で敗退し、メダルに届かなかった。