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【北京=川越一】中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁と謝旭人財政相が日本で開催中の国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会を欠席したのは、1カ月前に、日中首脳の対話直後の尖閣諸島国有化で潰された“メンツ”を潰し返す報復措置とみられる。
中国の国際情報紙、環球時報(電子版)は海外メディアの報道を引用し、「中国は通常、この種の会議には最高級官僚を派遣する。低位の官僚を送ったことは改めて両国関係の悪化を示している」と伝えた。
日本政府による国有化以降、中国は閣僚級の訪日を取りやめている。周総裁らの欠席も胡錦濤政権の意をくんだものといえる。
米メディアが尖閣問題の深刻化を「世界経済の大きな波乱要因」と懸念。各国の金融当局者や銀行首脳が一堂に会する重要会議の欠席は国家イメージを損ないかねないが、それもいとわぬ理由が中国にはある。
9月9日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれたロシア・ウラジオストクで、胡錦濤国家主席は野田佳彦首相に国有化には「断固反対」の立場を伝えた。日本政府はその2日後に同諸島を国有化した。
9月下旬、日中国交正常化40周年に合わせ日中友好団体会長らが訪中した際、唐家●(=王へんに旋)元国務委員は「中国の最高指導者がクギを刺した直後の国有化でメンツを潰された」とする国内の怒りを強調した。国際社会の注目を集める今回の総会は日本に恥をかかせる絶好の機会というわけだ。
中国の経済専門家は「日本は領土争いを取り巻く影響を過小評価している」と指摘している。今回の措置には、政権交代を見据え、日本側に中国と衝突した場合の代償を認識させる狙いもうかがえる。