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人気ラーメン店「どうとんぼり 神座(かむくら)」を運営する理想実業(奈良県広陵町)は、店舗展開を加速する。現在は大阪と東京を中心に24店舗を展開しているが、外食産業の不況が続く中、業績が順調に推移している点を踏まえ、一気に攻勢をかけて今後15年以内に700店舗を目指す。また、海外でも中国や韓国をはじめとしたアジアを中心に事業に着手、10年以内に500店を目指す。
神座は大阪・道頓堀の4坪(約13平方メートル)・9席の店から1986年にスタート。麺の上に白菜などを盛ったシンプルなラーメンながら、フレンチレストランのオーナーシェフを務めていた布施正人社長が開発した秘伝のスープが武器となって大人気店となり、2004年には東京への進出を果たした。女性の強い支持を集め、とくに渋谷店は業界の中でも屈指の人気店だ。年間の売上高は4億円にも上る。
店舗づくりにも、新たな取り組みに力を入れている。例えば今年4月に開業した東京・恵比寿の「KAMUKURA Dining」では「どうとんぼり神座」と新業態のギョーザバー「ギョウザキッチン」を組み合わせることで注目を集め、来客数はすでに15万人を超えた。理想実業の布施真之介取締役によると「デベロッパーなどに向けて効率的に提案できるように、今後の出店のあり方を全部詰め込んでいる」という。
多店舗展開に当たっては「スターバックスやマクドナルドの横に並ぶ形で出店したい」(布施取締役)という考えの下、商業施設のフードコートやロードサイド店が主力となるが恵比寿店のような新たなスタイルも積極的に導入する計画だ。理想実業の12年度売り上げ見通しは46億円。「国内のラーメン市場は1兆円に達するが、トップのシェアは3%に過ぎない。当社は10%を確保したい」(布施取締役)と積極的だ。
海外戦略については、台湾や香港の現地企業と組んで、FC(フランチャイズチェーン)形式によって店舗を展開する。当面の目標としては5年で100店舗を計画しており、布施取締役は「アジアでは米国のファストフードチェーンばかりが目立つ。アジアの食文化を守るという使命感で取り組んでいきたい」と意気込む。一方、ギョーザの持ち帰り専門店も東京を中心とした首都圏で開設する。当初は直営5店舗を開設し、その後はFC形式で運営し5年後には100店舗まで拡大する方針だ。(伊藤俊祐)